学生就労支援を長く続けているととても疲れてきた。
何故か?
一つには、三年生の学生に概ね同じような話を繰り返して話すと言うのが苦痛だからだ。
何がしたいかわからない、就きたい業界を決められない、何から手をつけて良いかわからない、などなど。だいたい相談に来る学生の大半はこのような理由だ。
全ての学生が相談に来るわけではないので、大半の学生は自分なりになんとか就活を進めているはずだ。だが相談に来る子は、3年生の夏前の時点で「どうして良いかわからない」と言う状態に陥っており、不安で病みそうだと言う。
具体的に言うと彼・彼女たちの悩み事は「ガクチカがない」「自己PRに書くことがない」と言うものだ。ガクチカとは、「学生時代に力を入れたこと」の略称だ。就活界隈ではごく当たり前の用語となっている。
丁寧に学生たちの行動履歴を聴いてゆくと、実は何がしかの「良いところ」はあるのだけれども、何故か相談に来る学生たちは、自分で自分をみくびってしまって、「自分にはいいところがない」とさめざめと泣く。
まずはそのマインドセットを解除することが必要なのだけど、それを阻むのが「テンプレ」だ。
ここで言う「テンプレ」とは、いくつかの就活サイトにおいて、先輩たちが「通過したエントリーシート」の事例を大量にアップしていて、多くの学生がそれを読んで自分と比較して、自分には「強い」エピソードがないと思い込む、と言う流れだ。
ここで言うエントリーシートとは、各企業が学生に対する
その学生たちをチアアップしながら、業界の特色と自己分析の仕方をアドバイスするのだけれど。
ほとんどの学生の悩み事が同じパターンのため、基本同じ話の繰り返しになり、「単なるつまらない作業」になってる点がストレス感じる。
もう一つは、大学3年生の夏から就活が本格的に始まってしまうと言う、日本の新卒一括採用システムに対する疑問と怒りだ💢。人手不足の影響で、かなりの大手企業でも取りたい学生を取りきれない中、「インターンシップ」と称して堂々と青田刈りをする企業たち。
真面目な学生たちの中には、3年生の夏から4年生の梅雨時まで約1年間就活が続く学生もいる。
そしてそれはほぼ「当たり前」の事と、概ね受け止められている。
学生もその家族も「バスに乗り遅れるな)とばかりに早めからの就活を開始する。
この状態が「おかしい」と感じていても、「いい会社に就職できなければ意味がない」と考えるからだ。
さて問題は「良い会社」とは何か?と言う問題だ。
経営的な観点から「良い会社」を選ぶことはさして難しくはない。財務体質や成長率、独自の技術力などを検討すると「良い会社」と言うものの定義は可能だと思う。
しかしこれから、人口大減少を迎えAIなど想像もできない技術革新が起きることを想像すると、これからどの業界、どの仕事が一番良いかなどわかるわけがない。
しかし、悩める学生たちの中には「もっといい会社がある」と言う幻想に囚われて、就活をやめずに活動を続ける人もいる。
この世の中の先のことがほとんど何も見通せないのだから、ほどほどの会社に内定が出たら、取り敢えず仕事をしてみて、様子を見て転職していくと言うのが、最も正しい姿だと思うのだけれども。
意外とそこに親御さんの干渉があったりする。今の学祭の親御さんの世代は、まさに就職氷河期世代なので、就活の大変さをよくご存知だ。だからこそ少しでも良い会社に子供達を入れたいと言う気持ちはよく分かる。
でも
その介入が一番問題だったりもする。

